ピロリ菌検査・治療
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)とは
胃の粘膜に感染し、様々な胃腸の不調の原因となる細菌です
特徴
①感染経路
幼少期に飲み水(特に井戸水など)で感染しやすく、また家族内感染も多い
②症状
無症状の方も多い
胃炎や潰瘍を引き起こすと胃痛に始まり様々な不快症状の原因となる
昔から胃が弱い方、胸やけ、胃もたれ、吐き気、食欲不振などを引き起こす
③関連のある病気
慢性胃炎、萎縮性胃炎、過形成ポリープ、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、など
④日本・世界におけるピロリ菌感染状況
- 欧米に比べて日本は感染者が多い
- 高齢者に感染者が多い
- 東アジア圏のピロリ菌はがん化リスクが高い
- 東アジア、アフリカ、南米に感染者が多い
(赤、紫、橙色の順に多い)
・日本におけるピロリ菌感染者数の推移
⑤ピロリ菌の治療によって
- 除菌をすることで胃の粘膜の炎症が改善し胃がんの予防になる
- 除菌をすることでさまざまな胃の不調の改善が期待される
- 除菌成功しても胃がん発症リスクはゼロではないので定期的な胃の検査を推奨(1~2年毎)
ピロリ菌感染の有無による胃カメラ像の比較
ピロリ菌に感染していない胃
- RAC(regular arrangement of collecting venules)
- 胃底腺ポリープ
- 稜線状発赤
- 隆起型びらん
均一な粘膜像で光沢があり腫れぼったくない
ピロリ菌に感染している胃
- 萎縮性胃炎
- 腸上皮化生
- びまん性発赤
- 皺襞腫大・白濁粘液
- 鳥肌胃炎
- 黄色腫
- 腺窩上皮過形成性ポリープ
- 斑状発赤
全体的にでこぼこしていたり、粘膜が薄くなって血管が透けて見えるなど
ピロリ菌がいることで粘膜が炎症を起こす
↓
胃がボロボロになっていく
↓
胃がんの発生リスク上昇
ピロリ菌の検査
胃カメラでピロリ菌感染を疑う所見がある際に行う検査です
胃カメラ時に生検(胃の組織を一部とる)にて行う検査
- 鏡検法:顕微鏡でピロリ菌がいるかどうかを直接確認する検査
- 迅速ウレアーゼ試験:ピロリ菌が産生するアンモニアを検出する検査
- 培養法:とった組織を培養してピロリ菌の存在を確認する検査
胃カメラ以外にて行う検査
- 血清抗体検査:血液中にあるピロリ菌に対する抗体の量を測定する検査
- 尿素呼気試験:お薬を飲んでもらい、ピロリ菌が分泌する尿素酵素を測定する検査
- 便中抗原検査:ピロリ菌がいるかどうかを便の中のピロリ菌抗原を調べる検査
ピロリ菌の治療
胃薬と抗菌薬2種類を組み合わせた3種類を1週間服用
一次除菌
タケキャブ1錠、アモキシシリン3カプセル、クラリス1錠 を1日2回朝・夕食後、7日間内服
- ボノサップパックというセット製剤で処方
- 副作用:下痢 (10-20%)、味覚異常・舌炎・口内炎 (5-15%)、発疹 (2-5%)、肝障害、腎障害など
- 除菌率:約90%。クラリス耐性ピロリ菌の場合は除菌できない。喫煙は除菌率を低下させる
二次除菌
タケキャブ 1錠、アモキシシリン3カプセル、フラジール1錠 を1日2回朝・夕食後、7日間内服
- ボノピオンパックというセット製剤で処方
- 副作用:下痢 (10-20%)、味覚異常・舌炎・口内炎 (5-15%)、発疹 (2-5%)、肝障害、腎障害など
- 除菌率:1次治療と合わせると約99%。飲酒で腹痛、嘔吐、ほてりなどが出現することがある
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