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3人に1人は脂肪肝?

[2026.03.05]

こんにちは。福岡県京都郡苅田町にある「たじり消化器・肝臓内科クリニック」の院長です。皆さんは、ご自身の健康診断の結果を毎年じっくりと確認されていますか。血液検査の結果で「肝機能の数値が少し高いですね」とか「脂肪肝気味です」と言われた経験がある方も多いのではないでしょうか。実は今、日本の成人の3人に1人は脂肪肝であるという驚くべき調査結果が出ています。これはもはや、一部の限られた人だけの問題ではなく、私たちの生活に密着した国民病と言っても過言ではありません。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少の無理をしてもなかなか悲鳴を上げないため、放置されやすいのが現状です。しかし、肝臓専門医の立場から申し上げますと、脂肪肝を放置することは、将来的に肝硬変や肝がんへと進む一歩を踏み出しているのと同じことなのです。当クリニックでは、苅田町や行橋市、北九州市といった地域にお住まいの皆さんが、肝臓の不安を取り除き、健やかな毎日を送れるよう、最新の知見に基づいた診療を行っています。この記事では、なぜ今これほどまでに脂肪肝が増えているのか、そして私たちがどのように向き合っていくべきなのかを詳しくお話しします。

脂肪肝とはどのような状態を指すのか

まず、脂肪肝という病気の定義について整理しておきましょう。脂肪肝とは、文字通り肝臓の中に脂肪が溜まった状態を指します。具体的には、肝細胞の5パーセント以上に中性脂肪が蓄積している状態を言います。フォアグラをイメージされると分かりやすいかもしれませんが、人間の肝臓も同じように、エネルギーとして使われなかった余分な糖分や脂質が脂肪に形を変え、肝臓の中に蓄えられてしまうのです。

肝臓は私たちの体の中で「化学工場」のような役割を果たしており、代謝や解毒、胆汁の生成などを行っています。ここに脂肪が溜まりすぎると、工場としての機能が徐々に低下してしまいます。昔は「太っているだけで、お酒を控えれば大丈夫」と考えられていた時代もありました。しかし現代では、お酒を全く飲まない人であっても、食事内容や運動不足、あるいは体質的な要因によって重篤な脂肪肝になることが分かっています。この状態を非アルコール性脂肪性肝疾患と呼び、近年非常に注目されている分野です。

なぜ3人に1人が脂肪肝と言われるようになったのか

なぜ、これほどまでに脂肪肝の方が増えてしまったのでしょうか。そこには現代社会特有の生活環境が深く関わっています。大きな要因としては以下の3つが挙げられるでしょう。

  • 食生活の欧米化と糖質の過剰摂取
  • 移動手段の利便化による慢性的な運動不足
  • ストレス社会による自律神経の乱れと睡眠不足

特に注目すべきは、食べ物だけでなく「飲み物」の変化です。清涼飲料水や果糖が含まれた飲料を日常的に摂取する習慣は、急激に肝臓へ脂肪を溜め込む原因となります。また、福岡県の苅田町周辺は車社会ですから、意識して歩かない限り、歩数が極端に少なくなりがちです。エネルギーの入り口(食事)が増え、出口(運動)が減っている。このアンバランスが3人に1人という現状を作り出しています。さらに、最近では睡眠不足が代謝を落とし、脂肪肝を悪化させる病気を引き起こす要因(リスク因子)になることも指摘されています。

自覚症状がないからこそ怖い「沈黙の臓器」の落とし穴

脂肪肝の最も厄介な点は、自覚症状がほぼ無いという点です。「肝臓のあたりが重苦しい」と感じるほどになったときは、すでに病状がかなり進んでいる場合が多いのです。多くの患者さんは、職場や自治体の健診で指摘されて初めて自分の肝臓に異変が起きていることを知ります。

「痛くないし、だるくもないから大丈夫」と放置してしまうと、肝臓の中でじわじわと炎症が起こり始めます。これを「脂肪肝炎」と呼びます。この炎症が長く続くと、肝臓の細胞が壊れては修復され、その過程で肝臓が硬くなっていく「線維化」が進行します。この線維化が進んだ先にあるのが肝硬変です。肝硬変になると、肝臓は本来の機能を果たせなくなり、腹水が溜まったり、黄疸が出たり、さらには肝がんを発症したりする可能性が高まります。ですから、症状がない今のうちに、その芽を摘み取ることが非常に重要なのです。

お酒を飲まない人の脂肪肝に要注意

以前は、肝臓病といえばお酒の飲み過ぎが原因だと思われていました。しかし最近では、お酒を飲まない、あるいは少量しか飲まない人の脂肪肝が急増しています。これを医学用語でNAFLD(ナフルド)と呼んできましたが、最新の国際的な基準ではMASLD(マズルド)という新しい名称で呼ばれるようになっています。

このタイプの脂肪肝は、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症といったメタボリックシンドロームと密接に関係しています。特に糖尿病を合併している方は、脂肪肝から肝硬変へと進行するスピードが速い傾向にあると考えられます。当院でも、血糖値が高いと言われたことがある方には、特に念入りな肝臓のチェックをお勧めしています。遺伝的な体質も関係しており、痩せているのに脂肪肝になる「非肥満型脂肪肝」の方もいらっしゃいますので、体型だけで判断しないことが大切です。

たじり消化器・肝臓内科クリニックで行う精密検査

当院では、肝臓専門医が常駐し、迅速かつ詳細な検査を行っています。脂肪肝の診断において、当院が特に力を入れているのが「腹部超音波検査(肝臓エコー)」です。

Q1. エコー検査は痛いですか?

A1. 全く痛みはありません。お腹にゼリーを塗り、超音波を出す端子を当てるだけの検査ですので、お年寄りからお子様まで安心して受けていただけます。

エコー検査では、肝臓の明るさ(脂肪が溜まると白く見えます)や、血管の見え方をリアルタイムで確認します。CT検査のように放射線被曝の心配もありません。当院では高解像度のエコー機器を導入しており、肝臓のわずかな変化も見逃さないよう努めています。また、血液検査ではASTやALT、γ-GTPといった数値だけでなく、将来的な肝臓の硬さを予測するための特殊な指標(線維化マーカー)も必要に応じて測定します。これにより、今のあなたの肝臓が「ただ脂肪が溜まっているだけ」なのか、それとも「すでに炎症が起きて硬くなり始めている」のかを、客観的なデータに基づいて判断することが可能です。

脂肪肝を改善するための治療法とアプローチ

脂肪肝の治療の基本は、やはり食事と運動です。「なーんだ、当たり前のことか」と思われるかもしれませんが、この当たり前のことを継続することが最も難しいのです。私たちは、患者さんに「明日から毎日1時間走りなさい」といった無理な注文はいたしません。

無理のない食事療法の工夫

食事については、単純なカロリー制限よりも「質の改善」を提案しています。具体的には、夕食の炭水化物を少しだけ減らす、甘い飲み物をお茶や水に変えるといったステップから始めます。最近の研究では、朝食を抜かないことや、食べる順番を意識するだけでも肝臓への負担が軽減することが分かってきました。また、野菜を先に食べる「ベジタブルファースト」も、血糖値の急上昇を抑え、肝臓での脂肪合成を抑制する効果が期待できます。

日常生活に組み込む運動療法

運動については、激しいスポーツを行う必要はありません。1日15分程度の早歩きや、スクワットのような簡単な筋力トレーニングが有効です。筋肉は脂肪を燃やすエンジンですので、筋肉量を維持することは肝臓を綺麗にする近道となります。苅田駅や●●駅周辺を少し散歩する時間を増やすだけでも、数ヶ月後には血液検査の数値に良い変化が現れるでしょう。

薬物療法という選択肢

生活習慣の改善だけでは十分に数値が下がらない場合や、すでに炎症が強い場合には、お薬による治療を併用することもあります。糖尿病や脂質異常症の治療薬の中には、肝臓の脂肪を減らす効果が認められているものもあります。患者さんの状態に合わせて、最適な治療計画を一緒に考えていきます。

たじり消化器・肝臓内科クリニックの脂肪肝診療への想い

私たちは、肝臓専門医として、脂肪肝を単なる数値の異常として捉えるのではなく、患者さんの人生を支える大切な問題として向き合っています。肝臓の数値が良くなることは、単に検査結果が改善するだけでなく、全身の代謝が良くなり、将来的な心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げることにも繋がります。

当院では、検査の結果を分かりやすく丁寧にご説明し、患者さんが納得して治療に取り組めるような環境作りを大切にしています。もし健診で「脂肪肝」という言葉を目にしたら、決して「みんななっているから大丈夫」と放置しないでください。その一歩が、10年後、20年後のあなたの健康を左右します。苅田町神田町という通いやすい場所で、皆さんの「肝臓のかかりつけ医」としてお待ちしております。

脂肪肝についてのよくある質問

Q1. 痩せれば必ず脂肪肝は治りますか?

A1. 多くの場合は体重の7パーセント程度を減らすことで肝臓の状態は改善します。ただし、極端な絶食などは逆に肝臓に負担をかけ、悪化させることもあるため、適切なペースでの減量が必要です。

Q2. お酒を辞めたくないのですが、治療は可能ですか?

A2. 禁酒が理想ではありますが、まずは「節酒」から始めましょう。休肝日を設けることや、お酒の種類を変えることでも効果はあります。継続できる方法を一緒に探していきましょう。

Q3. 子供の脂肪肝も増えていると聞きましたが本当ですか?

A3. はい、残念ながら近年は小児の脂肪肝も増加傾向にあります。スナック菓子やジュースの摂りすぎ、外遊びの減少が原因と考えられます。家族全員で生活習慣を見直すことが大切です。

院長より

当院は、消化器内科・肝臓内科の専門クリニックとして、福岡県京都郡苅田町に根差した診療を行っています。肝臓は非常に我慢強い臓器ですが、裏を返せば、一度壊れてしまうと修復が難しい側面も持っています。だからこそ、病状が落ち着いた状態(寛解)を目指し、早期に介入することが何よりも大切なのです。私たちは、肝臓専門医としての知識と経験を活かし、患者さんに寄り添った医療を提供することをお約束します。初めて受診される方は緊張されるかもしれませんが、どうぞリラックスしてお越しください。「ちょっと数値が気になったから」という軽い動機でも構いません。早めにその病気ではないと診断すること(否定)も、また重要な医療の役割です。私たちは、皆さんが自分自身の体をもっと大切に思えるよう、全力でサポートいたします。

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