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機能性ディスペプシアとは?

[2026.03.10]

機能性ディスペプシアの症状について

機能性ディスペプシアの主な症状は、大きく分けて4つの「不快な症状」に分類されます。これらは、食事と関係して現れるものもあれば、食事とは無関係に起こるものもあります。

  • 食後のもたれ感・・食べたものがいつまでも胃に残っているような、重苦しい感じ。
  • 早期飽満感・・食べ始めてすぐに、お腹がいっぱいになってしまい、最後まで食べきれない状態。
  • みぞおちの痛み・・胃のあたり、いわゆる心窩部(しんかぶ)に痛みを感じること。
  • みぞおちの焼ける感じ・・胃のあたりが熱く感じる、ヒリヒリするような感覚。

これらの症状が数ヶ月にわたって続いている場合、機能性ディスペプシアの可能性を考えます。臨床でよく拝見するパターンとしては、「少し食べただけでお腹が張って苦しい」という声や、「健診のバリウム検査や胃カメラでは異常なしと言われたけれど、ずっと胃が重い」というお悩みが多いです。

機能性ディスペプシアは命に関わる病気ではありませんが、QOL(生活の質)を著しく低下させます。食事が楽しくなくなったり、外出を控えたりするようになることも少なくありません。また、症状の出方が日によって変動しやすいのもこの病気の特徴です。昨日は大丈夫だったのに今日は全く食べられないといった、不安定な状況に悩まされている患者さんが多くいらっしゃいます。

当院では、まず患者さんがどのような時に、どのような不快感を感じているのかを詳しく伺います。それは、単なる胃の問題ではなく、日常生活の背景に原因が潜んでいることもあるからです。

機能性ディスペプシアの原因について

なぜ、カメラで見ても異常がないのに症状が出るのでしょうか。その原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

1. 胃の適応性弛緩(たいかん)の障害

通常、食べ物が胃に入ってくると、胃の上部はふくらんで食べ物を貯蔵しようとします。これを「適応性弛緩」と言います。機能性ディスペプシアの患者さんは、この胃の広がりがうまくいかないことがあります。その結果、少しの食べ物が入っただけで胃の内圧が上がり、早期飽満感が引き起こされます。

2. 胃排泄能(はいせつのう)の低下

胃は食べ物を砕いて十二指腸へと送り出します。この「送り出す力」が弱いと、食べ物が胃に長く留まることになります。これが胃もたれの正体です。逆に、胃の動きが早すぎて十二指腸に急激に食べ物が流れ込み、不快感が出るケースもあります。

3. 内臓知覚過敏

機能性ディスペプシアの患者さんは、胃の感覚が非常に敏感になっていることがあります。健康な人なら何も感じない程度の少量の食事や、胃酸の刺激、あるいは胃が少し膨らんだだけで、「痛み」や「不快感」として脳が過剰に反応してしまいます。

4. 心理的・環境的要因(リスク因子)

「リスク因子」とは、ある病気にかかりやすくなる要因のことです。機能性ディスペプシアにおいては、精神的なストレスや過労、睡眠不足などが大きく関与しています。脳と腸は密接に関係しており(脳腸相関)、ストレスを感じると胃の動きが止まったり、痛みを感じやすくなったりします。

これらに加え、ピロリ菌感染や生活習慣(喫煙、過度な飲酒、脂っこい食事の摂りすぎ)なども胃の働きを乱す原因となります。当院ではこれらの多岐にわたる原因の中から、何がその患者さんにとっての主原因かを共に探っていきます。

機能性ディスペプシアの病気の種類について

国際的な診断基準(ローマIV基準)では、機能性ディスペプシアは大きく2つのタイプに分類されています。ご自身の症状がどちらに近いかを知ることは、治療方針を決める上でのヒントになります。

食後愁訴症候群(PDS)

主に食事に関連して症状が出るタイプです。食後のもたれ感や、すぐに満腹になってしまう早期飽満感が中心となります。胃の動きの悪さが主な原因となっていることが多いタイプです。

心窩部痛症候群(EPS)

食事とは関係なく、みぞおちの痛みや焼けるような感じが起こるタイプです。胃酸への過敏反応や、胃の知覚過敏が主な原因と考えられています。

もちろん、これら両方の症状を合わせ持っている患者さんもいらっしゃいます。診断においては、まず「他の病気を否定する」ことが最優先されます。「否定する」とは、検査によって、胃がんや胃潰瘍、胆石、肝臓疾患など、組織に異常がある病気ではないことを確かめるプロセスです。

当院では、胃カメラ検査や腹部エコー検査を行い、まずは目に見える異常がないかを確認します。その上で、上記のタイプ分類を参考にしながら、一人ひとりに適したお薬や生活指導を提案しています。

機能性ディスペプシアの治療法について

治療の目標は、症状を完全に消すことだけではなく、日常生活に支障がない状態にする「寛解(かんかい)」を目指すことです。「寛解」とは、一時的あるいは継続的に症状が落ち着き、穏やかに過ごせる状態を指します。

1. 生活習慣の改善

まずは胃に負担をかけない生活を心がけます。

  • 食事の内容・・脂肪の多い食事、辛い刺激物、アルコール、カフェインを控えます。
  • 食べ方・・よく噛んでゆっくり食べること、腹八分目を守ることが重要です。
  • 睡眠とストレス管理・・十分な睡眠をとり、ストレスを溜め込まないようにします。

2. 薬物療法

症状のタイプに合わせてお薬を選びます。

  • 酸分泌抑制薬・・胃酸を抑えることで、みぞおちの痛みや焼けつく感じを和らげます。
  • 胃運動改善薬・・胃の動きを促し、食べ物をスムーズに送り出すことで胃もたれを改善します。
  • 機能性ディスペプシア治療薬・・胃の適応性弛緩を助ける新しいタイプのお薬もあります。
  • 漢方薬・・「六君子湯(りっくんしとう)」などの漢方が、胃の働きを整えるのに有効な場合があります。

3. ピロリ菌の除菌

ピロリ菌に感染している場合、除菌を行うことで症状が改善されることがあります。これは「ピロリ菌関連ディスペプシア」と呼ばれることもあります。

治療の「予後(よご)」については、多くの方が適切な治療で症状をコントロールできるようになります。「予後」とは、病気が今後どのような経過をたどるかという見通しのことです。ストレスなどで再発することもありますが、その都度対処することで、健康な時と変わらない生活を送ることが可能です。

よくある質問

Q1. 胃カメラを受けなくても、機能性ディスペプシアの診断はできますか?

A1. 症状から推測することは可能ですが、ガイドライン上は胃カメラなどの検査が推奨されます。それは、胃がんや胃潰瘍などの重大な病気が隠れていないことを確認する必要があるからです。特に40歳以上の方や、体重減少、貧血などの症状がある方は、一度は内視鏡検査を受けることを強くお勧めします。

Q2. ストレスが原因と言われましたが、精神科に行くべきでしょうか?

A2. まずは消化器内科での治療から始めるのが一般的です。胃の働きを助けるお薬で症状が改善すれば、不安も解消されることが多いからです。ただし、強い不安感や不眠が続く場合には、心身両面からのアプローチが効果的なこともあります。

Q3. 治療期間はどのくらいかかりますか?

A3. 個人差が大きいですが、お薬を始めて2週間から1ヶ月程度で効果を実感される方が多いです。症状が落ち着いてもすぐに服薬をやめず、生活習慣を整えながら徐々に減らしていくのが理想的です。

院長より

最後までお読みいただきありがとうございます。苅田町のたじり消化器・肝臓内科クリニック院長の田尻です。機能性ディスペプシアは、周囲に「異常なし」と言われる一方で、本人にとっては本当に辛い病気です。「気のせい」ではなく、実際に胃の動きや感覚に不調が起きているのです。

私たちのクリニックでは、こうした目に見えにくい不調に対しても、真摯に向き合うことをお約束します。私は肝臓専門医として日々診療にあたっていますが、消化器全般の専門知識を活かし、胃・大腸・肝臓・胆嚢・膵臓といったお腹の臓器をトータルで診察します。胃の不快感だと思っていたら、実は肝臓や胆石が原因だったということも少なくありません。そのため、当院では必要に応じて精度の高い肝臓エコー検査なども行い、見落としのない診断を心がけています。

また、胃カメラに対して「苦しい、怖い」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。当院では、できるだけ苦痛の少ない検査を行い、患者さんが「これなら定期的に受けられる」と感じていただけるような環境を整えています。苅田駅周辺の皆様、そして近隣の地域の皆様にとって、お腹の悩みを何でも話せる「街の主治医」でありたいと考えています。

「この程度の症状で受診してもいいのかな」と迷う必要はありません。食事が美味しく食べられない、毎日がスッキリしない。そんな時はぜひ、たじり消化器・肝臓内科クリニックへご相談ください。私たちと一緒に、健やかな毎日を取り戻しましょう。

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